2022-06-01
不動産売却では「契約不適合責任」という単語を目にすることがあります。
日常生活ではあまり耳にすることがない単語なので、イメージが浮かばない方は多いでしょう。
しかし、不動産売却をするなら必ず知っておくべき重要な単語です。
今回は、千葉県松戸市や近隣市町村で不動産の売却を予定されている方に向けて、契約不適合責任を理解するために知っておきたい知識を解説します。
実際の取引での注意点もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
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契約不適合責任とは、目的物と契約内容が一致しない場合に売主が問われる責任で、2020年の民法改正により、瑕疵担保責任が変更されて誕生したものです。
引き渡された目的物(不動産)の種類や品質、数量が、契約内容と一致しないことを「契約不適合」といいます。
不動産売却では、おもに引渡しと決済が完了したあとに「不動産の状態が契約内容と違っている」と買主が気づいたケースで、契約不適合責任が問われます。
契約不適合であるかどうかを判定する基準は、契約書に記されているかどうかです。
ちなみに、経年劣化や自然損耗は対象になりません。
契約内容と不動産の状態が不一致である場合、買主は「追完請求権」「代金減額請求権」「損害賠償請求権」「解除権」を行使することができます。
買主が持つ権利については、民法第562条から第564条の条文に記されています。
各権利の特徴を見ていきましょう。
民法第562条 買主の追完請求権
追完請求とは、買主が購入した不動産が契約内容と比べて足りない部分があるため、後から補うことを求めることです。
具体的な追完手段は、修補(修理)・代替物の引渡し・不足分の引渡しといった選択肢があります。
たとえば不動産に付いているトイレについて、契約書では利用できる状態であると記載されているのにもかかわらず、壊れて利用できない場合に、修理や交換などを求めるのは追完請求(修補請求)にあたります。
民法第563条 買主の代金減額請求権
売主が追完請求に応じないケースがあります。
その場合に、買主が次におこなうことができるのが代金減額請求です。
購入した土地の実測面積が、契約書に記されている面積より小さかった場合を例に考えてみましょう。
買主が追完を求めても、売主は足りない土地面積を補うことができません。
その結果、足りなかった面積分の代金返還を求める代金減額請求をおこないます。
民法第564条 買主の損害賠償請求権および解除権
買主には損害賠償を求める権利もあります。
ただし、売主に過失がないケースでは主張できないのが注意点です。
請求できる金額の範囲は、履行利益も対象になっています。
履行利益とは、不動産の転売利益や営業利益など契約が約定どおり実行されれば受けられたであろう利益のことです。
さらに買主は、契約を解除する権利、いわゆる解除権も行使できます。
ただし、不適合の度合いが軽微である場合は認められません。
解除には催告解除と無催告解除の2種類があります。
催告解除とは、追完を催告しているのに受けられない場合、契約を解除できるというものです。
債務の全部または一部の履行ができないときは、催告なしで契約を白紙に戻す無催告解除をすることもできます。
弊社が選ばれている理由|スタッフ紹介
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もともと存在した「瑕疵担保責任」は2020年に「契約不適合責任」へ変更されました。
従来の瑕疵担保責任が廃止された理由や、主要な変更点をご説明します。
欠陥を指す単語で、瑕疵担保責任が問われるのは「隠れた瑕疵」についてでした。
隠れた瑕疵とは、「契約締結時点で買主が知らなかった」かつ「買主が通常求められるような注意力を払っていても発見できなかった」瑕疵のことを指します。
しかしこの立証は困難であることが多く、論争の種になっていました。
このようなわかりにくさを是正するべく、瑕疵担保責任は廃止されたのです。
契約不適合責任になったことで、どのような点が変わったのでしょうか。
隠れた瑕疵の概念がなくなった
売主が瑕疵担保責任を問われるかどうかの基準は、その瑕疵が隠れた瑕疵であるかどうかでした。
一方で民法改正後は、隠れた瑕疵である必要はなくなり、「契約に適合していなければ責任が問われる」ということになりました。
買主が選択できる権利が増えた
以前は定められていなかった「追完請求権」と「代金減額請求権」が新たに追加されました。
損害賠償請求の実行条件が変わった
以前は売主の帰責事由は不要で、たとえ無過失であっても実行できました。
しかし契約不適合責任における損害賠償は、売主の帰責事由がなければ買主は請求することができません。
さらに請求できる範囲も、信頼利益から履行利益に変更されました。
信頼利益とは、その契約が有効だと信じたことにより生じた損害のことです。
不動産の登記費用など、売買契約を締結するうえで必要な費用は信頼利益にあてはまります。
一方で、履行利益は契約履行後に想定された利益も含むので、損害賠償として請求できる金額は大幅に増加しました。
期間制限が変わった
改正前は、瑕疵を知った時点から1年以内に権利を行使することが必要でした。
それが現在は、契約不適合を知った時点から1年以内の「通知」に変更となっています。
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契約不適合責任を追及される状況は、売主に深刻な影響をもたらします。
ここからは不動産売却をする際に、契約不適合責任を問われるリスクを少しでも減らすための注意点を解説します。
注意点①免責特約を付ける
民法には、当事者が自由に内容を決定できるという基本原則があります。
したがって当事者間の合意があれば、売主が契約不適合責任を負わないとする免責特約を付けることも可能です。
ただし、どの部分を免責とするかは契約書で明らかにする必要があります。
売却にあたって気になる部分はすべて洗い出し、特約に盛り込むようにしましょう。
注意点②付帯設備表を付ける
売却した不動産の付帯設備の不具合が発覚して、契約不適合責任を追及される事例は多く発生しています。
そのため、付帯設備について契約不適合責任を問われないようにするために、付帯設備表を作成することが重要です。
付帯設備表に設備の不具合や撤去の状況を記すことで、設備に関するトラブルを避けることにつながります。
注意点③インスペクションを依頼する
問題の見逃しを防ぐ注意点として、インスペクションを活用する方法があります。
インスペクションとは、建築士などの専門家が不動産の構造上の安全性や機能の低下具合などを目視で調査するものです。
不動産の状態を理解したうえで、売却活動や売買契約の締結をおこなえるので、売主から買主へ不動産についてしっかりと説明することができるようになるでしょう。
注意点④瑕疵担保責任保険に加入する
瑕疵担保責任保険に加入しておくことも、リスクヘッジになります。
瑕疵担保責任保険は、売却後に瑕疵が発見された場合に保険会社が補修費用を支払ってくれる仕組みです。
瑕疵担保責任保険に加入していると、売却活動でも大きな差別化になります。
弊社が選ばれている理由|スタッフ紹介
契約不適合責任について、概要や瑕疵担保責任との違い、不動産売却時の注意点を解説しました。
売却した不動産と契約書の内容が適合していなければ、売主はその責任を問われます。
買主が行使できるのは、追完請求権・代金減額請求権・損害賠償請求権・解除権の4つで、瑕疵担保責任のときよりも売主が負う責任は重みを増しています。
しかし免責事項の記載やインスペクションの実施、瑕疵担保責任保険の加入など、売主のリスクを減らすことができる方法はあります。
不動産売却時の契約不適合責任における注意点をよく理解したうえで、売却を進めるようにしましょう。
エドケンハウスは、千葉県松戸市を中心に近隣市町村で不動産の仲介・買取をおこなっております。
安心して売却できるようサポートさせていただきますので、お気軽にご相談ください。