2022-09-25
賃貸物件や売買の取引において、「心理的瑕疵あり」「告示事項あり」といった旨の文言が入った物件を目にすることがあるかと思います。
本稿では「心理的瑕疵」とは何なのか、不動産売却に与える影響や告知義務について解説します。
千葉県松戸市を中心に近隣の市町村で不動産売却しようと検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
\お気軽にご相談ください!/
まずは、心理的瑕疵とはどういうことを指すのか、告知義務について解説します。
不動産取引において屋根や外壁、柱や基礎などに欠陥があることが原因で、雨漏りの被害がある場合など構造上の問題を物理的な瑕疵といった言い方をします。
少し見慣れない漢字なので、読み方を補足すると「瑕疵(かし)」と読むのですが、では物理的な瑕疵に対し、心理的瑕疵とはどのような意味合いがあるのでしょうか。
心理的瑕疵とは、建物そのものに欠陥はないものの、居住者が心理的に抵抗を感じてしまうことで、そういった物件を心理的瑕疵物件や事故物件などと呼びます。
心理的瑕疵物件の一例として、物件自体に問題はないものの、墓地や火葬場、刑務所、廃棄物処理場などの嫌悪施設が近隣にあるケースです。
そして、物件内で事件や事故、自殺が原因で人が亡くなっていたり、死因は自然死だったものの、遺体の発見が遅れてしまったことで、腐敗して特殊清掃が必要になるケースがあります。
特に心理的瑕疵物件の中でも、後者の内部で死亡があった物件のことを事故物件と言われることが多いでしょう。
建物内外のいずれにしても心理的瑕疵物がある物件は、居住するのに抵抗を感じる方がほとんどです。
不動産売却するときに事故があった事実を隠して売却することは、不可能ではないかもしれません。
そして購入後に事故の存在に気がついたときには、既に売買契約の履行が済んでいるので、後戻りできない状況になってしまいます。
そんなことが起きないよう、不動産取引のルールを定めた宅地建物取引業法では「告知義務」について明言されています。
不動産会社が賃貸物件としての取引や売買契約において仲介するときに、故意に告知事項を伝えなかったり、嘘をついたりすることは禁止されています。
しかし、不動産会社も過去にあった物件の事故を調べることは難しく、特に人の死に関わることを調べることは不可能であるといえます。
そのため売主や貸主がその事実を伝えないと知り得ない以上、不動産会社が告知義務を違反したとしても、売主や貸主に責任が追求されます。
なお、告知義務を違反すると契約の解除だけではなく、損害賠償請求されてしまうこともあります。
この記事も読まれています|契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いや注意点はなに?
\お気軽にご相談ください!/
不動産売却において、心理的瑕疵による影響について以下で解説します。
事故物件であったり周辺に嫌悪施設がある状況の物件は、住みたくないと考える方が多く、避けられてしまいがちです。
周辺の相場よりも物件価格を下げて、心理的瑕疵がある代わりに相場より安いというメリットがない限り、容易には売却できないでしょう。
周辺の嫌悪施設については、騒音や悪臭などの程度や、敷地と施設の方角に対しての影響も異なるので一概には言えません。
日中のみ騒音を出す施設がある場合だと、昼間は家にいないので気にしないという方もいるかもしれません。
そのため、周辺の嫌悪施設についてはケースによって価格設定は変わります。
事故物件の値引きについては法律などで決まっているわけではありませんが、ある程度の目安が存在します。
自殺や特殊清掃が必要だった病死は相場より3割程度、殺人があった場合には相場より5割程度安くなると考えておきましょう。
心理的瑕疵のある不動産を売却するには、相場よりも物件価格を下げる必要があるとご説明しました。
しかし、殺人事件などが起きた物件に関しては、価格を下げても売却ができないというリスクもあり得ます。
その場合は、不動産会社による買取を検討してみても良いかもしれません。
買取とは、不動産会社が物件を直接買い取ることで、スムーズに不動産売却が進められるでしょう。
事故物件については、他殺や自殺など事件性があるものは嫌だけど、自然死や孤独死などは気にしないと考える方もいます。
また、建物内で人が亡くなったけれども、建物を解体して更地にし、土地として売却すれば気にしない方もいるでしょう。
心理的瑕疵よりも立地が良かったり、探している条件に合致していたり、不動産自体の条件を優先する方もいます。
心理的瑕疵の受け止め方は人によって違うので、必ず一般的に言われる割合で相場から値引きして売却しなくても良いと言えます。
この記事も読まれています|契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いや注意点はなに?
\お気軽にご相談ください!/
最後に、心理的瑕疵物件の告知義務について解説します。
心理的瑕疵のある物件を売却するときに、買主には必ずその内容を伝える必要がありますが、それを告知義務と言います。
自然死以外の死因で自殺や他殺、事故死などがあった場合や、自然死でも特殊清掃が必要な場合には、その時期や内容を伝える必要があります。
これらを伝えずに売買契約して引き渡すと、損害賠償請求や慰謝料請求されてしまうこともあるので、必ず不動産会社に伝えましょう。
査定結果にも影響が出る内容なので、伝える時期は不動産会社に査定依頼した段階で伝え、その前提で査定や売却活動を進めるようにしてください。
告知内容が1年前に起きた事件や事故ならば伝えるのは当然だと感じますが、20年前に起きた内容も伝える必要があるのでしょうか。
今まで人の死亡の告知内容については明言されていなかったのですが、2021年に国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。
このガイドラインでは、自然死や病死などは伝える義務がなく、自殺や他殺、特殊清掃が必要な死亡の事実だけ伝えるとされています。
賃貸物件の場合には3年程度とされていますが、不動産売却の場合には明確ないつまでといった時期の明言はありません。
一般的な不動産取引では10年程度経過したら伝えないことが多いとされています。
自然死や病死などは告知しなくても良いとはされていますが、買主が確認した場合には、伝える必要があります。
当然、虚偽報告をしてはいけません。
買主の検討に対して重要な影響を与える場合にも伝える必要があります。
そして、不動産売買契約前には物件の状況報告書を作成しますが、一般的なひな形には「事件・事故」の有無を確認する項目があります。
ここでも虚偽報告はできないので、基本的には、ガイドラインの有無に関わらず、心理的瑕疵については明確に伝える必要があると言えるでしょう。
この記事も読まれています|契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いや注意点はなに?
不動産の心理的瑕疵とは、その不動産に居住するのに心理的な抵抗を感じてしまう内容が存在することです。
物件に心理的瑕疵がある場合、売主には告知義務があるので、事故の内容を正確に伝えましょう。
エドケンハウスでは千葉県松戸市を中心にその近隣の市町村の不動産に関する相談を受け付けています。
もし、所有している物件に心理的瑕疵があったとしても、できるだけ希望に沿った形で売却しますので、お気軽にご相談ください。